質問に答えます。

有料のカウンセリングと行政の無料相談

無料カウセリングと有料カウンセリングの違い

Q.行政などでやっている無料のカウンセリングと、心の相談室withなどでやっている有料のカウンセリ ングは、どこがどう違うのですか?

 

A. 私は、無料のカウンセリングなど、世の中に存在していないと思っています。
何故なら、クライエントが遠慮なく言いたいことを言える場が設定されていないのでは、とうていカウンセリングとは呼べないからです。行政でやっているのは、いわゆる相談業務です。「どうしたいのですか? それならばこうしてみてはいかがですか」というものです。決してクライエント(相談ではクライエントとは呼びませんが…。ちなみにクライエントとは、来談者という意味です。)に自己洞察など起こさせてはくれないので、自分でもどうしていいかわからないクライエントにとっては、全くもって無意味(存在意義がないという意味ではありません )です。
それに、相談では心理療法は行 いませんし、無意識も取り扱ってはくれません。無料のカウンセリングなどないというのはそういう意味です。カウンセリングでは、クライエントはよく、カウンセラーに怒りや憎しみをぶつけたりしますが、(それを専門用語で転移現象と呼びます。治療には欠かせない大切なものです。)それは金銭を払っているからこそ出来るのであって、無料の教えて下さいという相談で、そんなこと出来る道理などありはしません。あったとしても、相談者のためにはならないレベルでしょう。無料の相談では、例えそこで傷つけられることを言われ たとしても、「そうじゃありません」と、怒ることはできないのではないでしょうか。
一方、カウンセリングでは、金銭と引き換えに時間と場所と人を借りているのですから、遠慮なく自分の胸のうちをさらけだしやすいということが言えるかと思います。 私は、誤解を恐れずに言えば、一部の行政の無料相談が、世のカウンセリングの発展を妨げているのではないかとさえ思っています。行政の無料相談に出かけたばかりに、「2度と他人なんかに相談するものか」と思ってしまった人を、私は何人も知っています。 とは言いましても、私は、その相談員を責めるつもりは毛頭ありません。ほとんど技術らしきものを持っておられない方(もちろん、例外というものは当然あり、中には持ってらっしゃ る方もおります。)が、たまたま相談業務に就いたという理由でやっておられるのですから、それも致し方のないことだと思っています。
ついでに言っておきますと、病院では、自費でやれば別ですが、保険治療では、満足のいく カウンセリングは行ってもらえません。3分治療で10,000円 近く得ることが出来る医師が、1時間で3,000円程度しかもらえないカウンセリ ングをやることなど、いくらクライエントが望んだところで、所詮出来はしないのではないでしょうか。大体、そんなことをやっていては病院の経営が成り立ちません。医師は、患者の訴えを、特に初診時ではよく聞こうとしますが 、それは、どのような薬をどのくらいの量、目の前にいる患者に与えるべきかを判断するためであって、何かアドバイスらしきことを言おうとしているわけではありません。
そして、そのような医師の態度は決して間違ってはおりません。医師は、悩んでいる人のことを、脳という臓器の働きが低下した人だと捉えます。そして、薬物によって治療していこうと試みる人なのです。
私のところへ通っているクライエントが、以前、「カウンセリングやって欲しいんですけれど…」と医師にお願いしたら、「では、入院して下さい。今ならちょう どベッドがあいていますので」と言われたそうですが、病院側からすれば、そうでもしないと、その人をカウンセリングする経費を捻り出せないと判断したからなのでしょう。

 

最後に、まとめておきます。
相談(行政の無料相談・テレホン人生相談等)は、「何をどうしたいか」頭の中が整理されていて、人の忠告を受け入れる余裕がある人が行くところです 。(そういう意味では、頭の中が整理されていて、人の忠告を受け入れる余裕がある人にとっては、相談は効果的です。ただし、相談員の方が、あなたより専門知識がある場合に限って…、という条件がつきますが…) 相談員に心理学や精神医学の専門的な知識を求めるのは、多くの場合、無理というものです。
カウンセリングでは、「何をどうしたいか」や頭の中が混乱してサッパリわからなくなった人や、どうすればいいかよくわかっているけれど出来ない、という人をも対象にしています。また、精神病患者を抱えて悩んでいる家族の方も、カウンセリングルームにいらしてみては いかがかと思います。

 

 

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